フランス王妃マリーアントワネットは、14歳の時生まれ故郷のオーストリアから、ルイ16世の元に嫁いできました。でもこの結婚はマリーアントワネットの母親のマリアテレジアがオーストリアとフランスの関係を良くするための政略結婚として計画されたものでした。

ですからマリーアントワネット自身、恋愛も何も経験なくいきなりフランスに嫁がされたことで、夫となったルイ16世には愛情など湧きませんでした。

愛情のない結婚とは、果たして幸せになれる保証があるのか?とアントワネットは戸惑いを隠せませんでした。そしてルイ16世との結婚後すぐに彼女はある女性との対立が待ち構えていました。

それはルイ15世(ルイ16世の祖父)の侍女を務めるデュ・バリー夫人との対立でした。デュ・バリー夫人はオーストリアからフランスに嫁いできたこのアントワネットのことを快く思っておらず、漫画の中では「生意気な赤毛のチビ」と呼んでいます。

ルイ15世の侍女を務める彼女は、アントワネットに対して、激しい妬みと憎しみを抱いていました。そしてルイ15世がいる限り、何でも自分の思い通りになると思いこんでいました。

一方のアントワネットもこのデュ・バリー夫人の性格の悪さ、ルイ15世にお使いする侍女としての存在を疎ましく思っていました。ですから2人は本当に仲が悪かったのです。

宮廷内で貴族の婦人たちが集まる会合の席で、デュ・バリー夫人には自分からアントワネットに声をかけることは一切禁じられており、アントワネットは非常に彼女を嫌って、絶対に声掛けすることをせず、無視し続ける有様でした。

自分に対して無視を続けるアントワネットを憎むデュ・バリー夫人はルイ15世に「陛下、何とかしてくださいな!」とお願いします。ルイ15世はこの対立にほとほとあきれ果て、そしてオーストリアの母マリアテレジアからもいい加減この対立は止めるようにアントワネットに忠告してきます。

母の忠告を渋々受け入れることになったアントワネットは、デュ・バリー夫人にとうとう声掛けをすることとなりました。これは宮廷内に集まった貴婦人たちの全注目を集めました。ですがアントワネットは急きょ「さあ、皆さん!国王陛下をお待ちしましょう!」と彼女の声掛け直前に言い放ち、そそくさと退場しました。

ますます怒りを募らせたデュ・バリー夫人でしたが、その後ルイ15世が天然痘を患ってしまい、看病します。ですがルイ15世の天然痘はますます悪化、そして亡くなると、ルイ16世が国王の座に着き、アントワネットも正式にフランス王妃になりました。

ここでデュ・バリー夫人の権力は衰えていき、彼女は修道院へ行く命令が下されてしまいました。フランスの貴族の世界は何とも複雑でよく分かりません。

それからアントワネットと深く関わったもう1人の女性ポリニャック伯爵夫人がいます。ポリニャック伯爵夫人はアントワネットのお気に入り兼親友として、王家の宮殿の出入りを許され、取り巻きの1人となります。

ですがこの婦人、アントワネットの相談相手は上辺だけで、実は何も知らないアントワネットの心を利用して賭博を進めては多額のお金を巻き上げるなどの危険な女性でもありました。

オスカルがアントワネットにポリニャック伯爵夫人との付き合いを辞めるように忠告しても、彼女は言うことを聞かず、今ではポリニャック伯爵夫人の言いなりになってしまいました。

そしてポリニャック伯爵夫人は、アントワネットにお使いするオスカルの存在を邪魔に感じ、密かに殺そうと計画するなどもしています。

実にアントワネットの周囲は悪女だらけだったのです。