大和和紀先生の代表作といえば、殆どの方がご存知の「はいからさんが通る」ではないでしょうか。はいからさんが通るは「花の大正ロマン」がキーワードで、よく耳にしたものでした。この漫画のスタートは大正7年になっています。

そもそも大正時代は昭和の前の元号ですが、期間としては15年という短いものでした。1912年7月30日~1926年12月25日が大正時代でした。

では実際に大正7年はどんなことが起こっていたのでしょうか?1918年(大正7年)はまさしく大正デモクラシーの時代でした。世の中では米騒動が起こっていました。これははいからさんが通るの中でも触れられていますが、貧困に苦しむ市民が「米をよこせ~!!」と米問屋に押しかけて騒動を起こしたのが米騒動でした。

そして日本の政治界では原敬氏が初めて本格的に政党内閣を作りました。

こうしてはいからさんがスタートした大正7年の世の中を調べるだけでも素人の私ではかなり時間がかかりました。でもあの時代月に1回少女漫画雑誌を出していた大和先生はスピーディーに大正時代のことを事細かく調べて作品にしたことが改めてよく分かりました。

やはり漫画家は物知りじゃないと描けないってことですね。

1つの作品を雑誌に印刷して発表するのはどれだけ大変だったことでしょうか?ストーリーや登場人物を考えるだけでも大変なのに、現代より過去の時代をテーマに漫画にしていくのは、とても素人には務まりません。

プロだからこそ、やっていけるんですね。でも昭和時代は今の様にパソコンやスマートフォンなど、インターネットで調べることなんてありませんでしたから、あの頃色んな情報を調べようとなると、百科事典を使うことが多かったと思います。

はいからさんの時代背景は大正7年~大正12年までです。関東大震災も物語の中で触れられていますので、いかにこの作品が奥深かったかと思い知らされる次第です。

それに縁談なども、やはり日本の風習で「お見合い」が多くて殆ど両親の決めた相手と結婚することが当たり前の時代でもありました。ですが顔も性格も知らない者同士がいきなり結婚して夫婦になるのって、現代では何とも無謀に思います。

そのはいからさんも、お見合い~熱愛~進展しない2人~心が通じ合えたのにお互いに離れてしまう~戦死~戦死と思われたが生きていた~やはり波乱万丈~関東大震災~結末と大正時代をバックにストーリーが展開していきます。

特に物語最初の方では女学生の生活が描かれていますから、大正時代の女学生姿が現代の短大・大学の卒業式の衣装になっています。私もこの女学生姿には、当初から憧れていまして、実際に卒業式ではいからさんのように着物、袴を着た時はもう感激しました。髪型まですっかり漫画の真似をしていました。

その為に髪を伸ばしていたことも覚えています。大正時代の女学生の髪型は私は今でも大好きです。いかにも女性らしく見えて、そして大人っぽく見えます。

10代の頃、何となく読んでいたはいからさんではありましたが、こうして見ますと大正時代の詳細を調べて作品にしていく大変さは想像以上だったと思います。私はそんな大和先生を尊敬します。