ヒロイン紅緒の許嫁の伊集院忍とはどんな男性なのでしょうか?紅緒はいつも「少尉」と呼んでいましたので、少尉として色々ご紹介していきましょう。

まず少尉の両親はすでに他界しており、父親は伊集院伯爵家の息子、そして母親はドイツ人でした。少尉の両親はドイツ人の母の家族が日本人の男性と結婚することを強く反対し、結局結ばれることなく、少尉を授かった後、別の貴族に嫁いでしまいました。

少尉の父は赤ちゃんだった少尉を自分の実家の伊集院家に預けて、外国留学してその後病気で亡くなりました。少尉は両親の愛情を全く知らずに祖父母に育てられました。

でも少尉は両親がいなくても祖父母の愛情をたっぷり受けた男性ですので、ちっともひねくれたり、性格が悪いわけでもありません。祖母の影響からか、穏やかで常に優しい男性に育ちました。

少尉の特徴は「笑い上戸」です。桜並木を自転車で走ってきた紅緒の鼻に毛虫がのっかり、自転車ごとひっくり返ったのが初めての出会いでした。そこで少尉は笑い上戸を発揮。以後も同じ状況は見られます。

ですが少尉は伯爵家育ちのおぼっちゃんの割には非常にたくましく、紅緒の家に来て、剣道で争った時は互角の腕前でした。紅緒の相変わらずのお転婆、男勝り、酒乱に振り回されても、彼女が伊集院家に見習い花嫁にきた時には、自分の家のしきたりを変えていく紅緒に魅かれて愛するようになりました。

しかし、紅緒と少尉がお互いに愛しあう傾向にありつつ中、紅緒は運悪く少尉の上官と酒乱が原因で喧嘩してしまいました。印念中佐は特に相手に対して強く根に持つ厄介な男で、元々気に入らないとされていた少尉を遥か遠いシベリア出兵させてしまいました。

自分のせいで少尉がシベリアに行かされてしまった紅緒は禁酒しますが、舞踏会で飲んだジュースのつもりがシャンペンだったので、禁酒の誓いは崩れてしまい、またもやそこで酒乱騒動を起こしてしまい、それがたたったのか少尉は1人取り残された仲間(後の部下の鬼島)を助けようとして、運悪く敵兵に襲われて命を落としてしまいました。

例え遠く離れても少尉の頭の中には紅緒のことで一杯でした。こんなに相思相愛になったのに、伊集院家には戦死の知らせ。でも紅緒は少尉が死んだ証拠がないので、それでも生きていると信じます。

シベリアで死んだと思われた少尉は、実はラリサという女性に助けられ、一命をとりとめました。ですが意識を取りもどした時の少尉は記憶喪失だったので、ラリサは自分の夫が少尉に瓜二つなのをいいことに、「あなたはサーシャ・ミハイロフ公爵よ。」と言い聞かせます。実はラリサの夫・サーシャ・ミハイロフは少尉とは異父兄弟であり、サーシャの母こそが少尉の母でもあったのです。

これこそが運命のいたずらとも言えます。日本へ亡命したラリサは少尉をサーシャ・ミハイロフ公爵にしたてあげ、姿を現します。取材にたまたま来ていた紅緒は「もしかして少尉?」と驚きますが、記憶喪失の少尉には紅緒のことは分かりませんでした。

日本に戻ってきてからの少尉は、記憶が戻ると自分の周りの現状に驚きました。伊集院家は少尉の戦死によって財産を失い、残された紅緒が伊集院家を必死に守ってくれてた事でした。

少尉の苦悩はやはりラリサにありました。彼女は自分の命の恩人でもあり、他に頼れる人のいないラリサを見殺しにはできないなど、相変わらずの少尉の優しさもうかがえます。

しかし恐ろしい関東大震災をさかえに、少尉と紅緒の運命は一転し、2人は結ばれました。そして2人の間には可愛い男の子が誕生し、春星と名付けられました。