ガラスの仮面のヒロインマヤに続く重要人物と言えば、ライバルの姫川亜弓です。姫川亜弓はマヤとは育った環境が実に対照的で、父親は映画監督、母親は姫川歌子と超有名な女優の間に生まれ、裕福なお嬢様育ちです。

でも亜弓は両親の七光りだと思われたくない、といった高いプライドを持っており、母親と自分は常に別々の女優として劇団オンディーヌに所属していました。マヤのボーイフレンドの桜小路君と同じ劇団員です。

亜弓がマヤと初めて出会ったのは、マヤがたまたまオンディーヌへ見学に現れた時でした。「逃げた小鳥」のパントマイムの試験をひょんなことから、マヤはやることになり、戸惑いつつもマヤはパントマイムを始めます。動きのぎこちなさから周囲はマヤのことをバカにして笑っていましたが、どういうわけか亜弓はマヤの初めてのパントマイムを見て、彼女の隠れた能力を見出し、驚きました。

月影先生の次にマヤの隠れた才能を発見したのが亜弓です。亜弓は容姿も美しく、演技でも天才的と評価され続けてきただけに、マヤの存在はこれから亜弓の演劇人生を変えることになりました。

劇団つきかげの初の公園「若草物語」で三女のべスを演じたマヤを見た亜弓は、「あの子は演じれば演じるほど輝いてくる」と評価し、やがて自分のただ1人のライバルとして、マヤを認めるようになりました。

その後も亜弓とマヤは舞台で戦うことが多くなり、同作「たけくらべ」では主人公の美登里を亜弓は完璧に演じたのに、マヤは一味違った演技力で観客を魅了させ、その瞬間に亜弓はマヤに対する初めての敗北感を感じたのでした。

「奇跡の人」ではマヤと亜弓はWキャストとして日替わりで、演じていました。マヤが亜弓と比べられるのを恐れているように、亜弓もまた、「マヤは怖い子」と心の奥底では不安を隠せませんでした。

亜弓はいつも自分自身の演技は完璧で、誰にも負けたくない!と言った強い意思があり、ことごとく自分を追ってくるマヤを本当に恐ろしく感じつつも、良いライバルだと常に思うようになりました。

マヤに「最優秀助演女優賞」を奪われても、亜弓は自分とマヤの演技は完全に違うものだと気づき、ここからマヤと共に「紅天女候補」として激しい女優世界へ突入していきます。

マヤが陰湿な陰謀によって、芸能界を追放されたと聞いた時には、大事なライバルを失いたくない一心で陰謀をしかけた相手を見事に叩きのめしました。さすがに亜弓は曲がったことを嫌う本物の女優です。

「ふたりの王女」ではライバル同士が共に演じ、大人気を博したので、マヤと亜弓はここから本格的に「紅天女」目指して戦いを始めました。

ですが亜弓はマヤには一度も勝ったことがないと思っているのです。これは意外なことなのですが、何故なのでしょう?プライドが高く美貌にも優れている亜弓なのですが、やはりマヤの底知れぬ演技力の才能を早くから見出していたので、心から勝てた!と思うことがなかったのでしょう。

平凡な女の子が急に演技を始めると、まさに女優として輝いて見えてくる…マヤの演技には自分にはないものが沢山ある!だから亜弓はマヤを怖い子と思いつつ、大事なライバルとも思っているのでしょう。

自分の置かれた環境はまさしく満たされていて、その反面、マヤはどんな境遇にあわされても決して負けることなく、自然に演技の世界へのめり込める!本能的に演技が出来るマヤに、亜弓は嫉妬をしていたんですね。

だからこそ、マヤとは互角に戦って何としても紅天女をやってみせる!というのが亜弓の本音でしょう。