少尉が戦死と伝えられた後、登場する青江冬星ですが、この男性いささか変わった所があります。それは女性に肌を触れられただけでじんましんが出ること。これには笑えました。いわゆる女嫌いです。

いつも長い髪に顔を隠し、仕事には常に厳しく情熱的なこの青江ですが、彼はどうして髪で顔を隠しているのかその理由ってアナタは知っていましたか?

青江冬星の両親は銀行家で、父親が後を継いで欲しいと冬星に頼んでいましたが、彼は頑なに拒否し続け、冗談社を立ち上げ編集長になりました。

冬星の母親は16歳で彼を産み、その前には別の男性と付き合っていたとのことでした。ですから銀行を経営しているのは継父であり、母親の顔に自分は余りにも似ているので常にコンプレックスを感じていました。

ですからそんな母親の元に生まれた自分に腹が立ち、女性などというものは嫌いで、身近には近づけたくない、というのが冬星の女嫌いの理由だったのです。

青江家も銀行経営してるくらいですから、大富豪には違いありませんが、冬星はそんな家を嫌い、両親も嫌ってましたので家を出て、自分で冗談社を経営して生計をたてていたんですね。

そんな時に現れたのが紅緒で、男勝りで、実に女性とかけなはれた面を気に入り、冗談社へ入社させます。婚約者はすでに死んでいて、仕事しないといけない!といった紅緒の情熱に段々魅かれて行く冬星でした。

ですから女嫌いをなおしてくれた紅緒は、冬星にとって大事な存在となり、彼の心の奥底は婚約者が死んでいてよかった…ことだったのです。

しかし、日本に来たサーシャが実は紅緒の許嫁少尉だと知ると、冬星は少尉に対して激しいライバル意識を燃やします。それ以上に紅緒を愛するようになって来た恋敵とも見るようになったのです。

最初は少尉が許せない冬星ではありましたが、少尉が行方不明になっている間、青江銀行から借金をしていた伊集院家が差し押さえられ、少尉の危機を救おうと、冬星は冗談社をたたんで、銀行家を継ぐと言いだしました。

紅緒は冗談社の編集長の仕事を心から好きだった冬星に対して、それは本心ではないと見ぬき、伊集院家を救うことが少尉への手助けと自分自身への愛情だと分かりました。そして紅緒は衝動的に冬星のお嫁さんになると言いだします。

冬星は紅緒の申し出を受け入れて、結婚式をあげますが、運悪くその日は関東大震災に襲われてしまいました。ですから一気に冬星と紅緒の結婚式は震災でぶち壊されてしまい、紅緒は大火事に巻き込まれて行方不明に。

冬星はすぐに紅緒を救助に向かおうとしますが、両親に反対されて大勢逃げていく市民の列にまぎれてしまいます。その間にライバル少尉も紅緒を助けに馬を走らせていました。

家族からうまく抜け出した冬星は、紅緒を助けに向かいました。燃え盛る現場で偶然鬼島と環に会った彼は、少尉もまた紅緒を助けにきたことを聞かされ、またライバル意識が高まります。

一足早く紅緒を見つけた少尉は燃え盛る炎の中で、お互いの愛を確かめあいます。やはり紅緒自身も冬星の愛より少尉の愛の強さを選び、冬星に心から詫びました。

そんな時に冬星は紅緒を発見!逃げる紅緒に「俺と逃げるよりも伊集院とここで死ぬことを選ぶのか?」と聞くと紅緒はうなずきます。ここで冬星は完全に少尉に負けた!と感じ、しまいには「伊集院と幸せになれ。もう決して話すんじゃないぞ。」と言い残して立ち去りました。

少尉との恋敵はここで終結を迎えて、冬星は敗北を認めてまた新しく冗談社を立ち上げることとなりました。