Authorbluefish2017

マヤの母親・北島春!仕事が忙しく、一人娘を誉める余裕がなかった

ガラスの仮面のヒロイン・マヤの母親の北島春は、夫に先立たれてから中華料理店の住み込み店員として働いていました。ですからマヤの頭には父親の記憶はありません。

1人娘を育てるために、春は一生懸命働きました。小さかったマヤもそんな母親の手伝いをしながら小学校、中学校に通っていました。

マヤがテレビドラマが好きで夢中になって見ていると、「何だい、またドラマなんか見て。そんな暇があるんなら勉強するか、母さんの手伝いでもしな!」と叱りました。父親のいないマヤは母親1人の手で育てられて横浜で暮らしていました。

ある日、中学校の出し物で演劇をすることになったマヤのクラスは、マヤが日頃から演技が上手なことを皆が知っていたので、演劇に出すことを推薦します。早速母・春に学校の演劇に出ることをマヤが報告すると、「へえ~、お前が劇に出るなんてねぇ。」と一度は喜びます。

ですが数日後マヤが選ばれた役は、ビビという名前の貧乏で間抜けな人間の役でした。春は「ふふ、お前のやる役なんて所詮そんなものだよ。」とけなしてしまいます。でもマヤは月影先生から「この劇では一番難しい役だ。」と言われ、どうやったらビビになりきれるのか考えるようになりました。

いよいよ学校の出し物の当日が来て、マヤは春に「母さん、お弁当持って私の劇見に来てね。」と言います。しかし春は弁当を用意しながらも、自分の娘がみっともない役で皆の笑いものの種にされるのかと思うと何とも恥ずかしい、情けない気持ちになってしまいました。そして弁当を中華料理店の娘・杉子に託してマヤの劇を見に行くことはしませんでした。

その頃学校で春が来るのを待ちわびるマヤでしたが、時間になっても母さんは来ません。悲しくなるマヤ。そしてとうとうマヤの出番が来ました。マヤはビビの仮面をかぶり、見事に演技きり、会場の観客に拍手喝さいを浴びました。

その頃春はそうとも知らずに店の掃除をしていました。通りかかった人から、「マヤちゃん、上手に演じたわよ。」と聞き、春は驚きました。「マヤが…まさか、あの子が!」

その後しばらくしてマヤは、春に女優になりたいことを打ち明けます。ですが春は「女優になるだって?そんな夢みたいなこと言ってるんじゃないよ!お前にそんな能力なんかありゃしないよ!」とこれまた娘を否定します。

マヤは確かに美人ではないし、学校の成績もよくありません。でも月影先生の助言で家出同然で、マヤは劇団つきかげに入団。春は月影先生がマヤをそそのかしたと思いこみ、無理矢理マヤを連れ戻そうとしますが、「母さん、どうしても私、お芝居がしたいの!」「そうかい!もうお前みたいな娘はいらないよ!」と春は姿を消してしまいました。

マヤの母親・春は女優になりたいなどど夢みたいなことを言った娘がどうしても許せませんでしたが、結局許すこととなり、月影先生にお詫びの手紙とマヤをよろしくと綴りました。

やはり母の手1つで育ててきた春は、毎日仕事、育児と時間に追われていたので、マヤの隠れた才能を見出すことまでは出来ませんでした。忙しすぎて自分に余裕がなく、マヤを叱ってばかりいましたから。

マヤが出て行ってから2年後、春は結核を患い、中華料理店の住み込み店員を辞めさせられてしまい、サナトリウムに向かう列車の中で週刊誌に載ってるマヤを発見しました。丁度「嵐が丘」の主人公キャサリンを演じた時のマヤの姿に春は驚き、初めて娘の才能を誉めるのでした。

ですが春は元気なマヤと再会を果たすことなく亡くなってしまいました。

少尉の命の恩人ラリサ!紅緒にとっては邪魔な存在だった?

足を怪我して動けなくなった鬼島を助けようとして、運悪く少尉は敵兵に襲われ、刺されて崖から突き落とされてしまいました。そして一度は戦死と伝えられ、紅緒は少尉の葬儀の時に「軍人の妻の証」として母の形見の白い喪服を来て、長い髪を切り落とし、一生誰にも嫁がないと誓います。

そして少尉の亡きあと、伊集院家を守るために働きます。

その頃ロシアでは日増しに戦いが酷くなり、大雪の中を逃げ惑う貴族の姿がありました。女性の名前はラリサ。吹雪の中、倒れている男性を見つけます。ラリサはハッとして途中ではぐれた夫のサーシャではないかと思うのでした。

ですが人違いだとすぐに判明しました。サーシャは敵の御取りになって、すでに殺されてしまいました。でもあまりにも夫に瓜二つ!ラリサは倒れているこの男性がサーシャに似ていることから、亡くした夫の身代わりにしようと考えだすのでした。

それが少尉だったのです。少尉は敵兵に刺された時の大けがと崖から突き落とされたショックで記憶喪失になってしまい、ラリサは少尉の記憶喪失を利用して「あなたはサーシャミハイロフ公爵。私の愛する夫です。」と教えます。

少尉を自分の夫に仕立て上げることに成功したラリサは、彼を同行させてロシア亡命から逃れるために日本へやってきます。ですがすぐに紅緒に死んだ少尉に似ていると気づかれてしまい、近づいてくる紅緒を疎ましく思うのでした。

サーシャと日本で暮らすことにしたラリサは、狸小路の屋敷に滞在します。そして日本語の勉強をします。でもこの時ラリサは日本語ペラペラでしたね。何処で覚えたんでしょう。そんなに日常会話が出来るほど上達が早かったのでしょうか。

記憶喪失だった少尉は、紅緒との再会で「あの子どこかで見たことがある。」と思いだそうとします。ラリサには少尉が記憶を取り戻すのが一番怖く、そして紅緒が奪い去っていくのではないかと不安を感じていました。

ラリサはその後結核を患い、寝込んでしまいます。重い病気ですっかり気が弱くなった彼女は少尉に頼り切ります。

その頃少尉は日本にやってきた鬼島と偶然再会し、その時には記憶がすでに戻っていました。鬼島は紅緒のために名乗ってほしいと頼みますが、今はそれが出来ません。理由は自分の命を助けてくれたラリサを見殺しには出来ないと思ったからです。

ラリサはサーシャが殺された代わりに、少尉を放そうとせず、紅緒の前では「あの人は私がいなければ死んでいた。だから私のものよ。」と言います。病魔にむしばまれていく彼女はいつしか少尉を死んだ夫に重ねながらも、愛し始めていました。

少尉が記憶を取り戻しても、「あの人はサーシャ!私の夫です。」と言い張ります。まあ何と言いますか往生際が悪いですね。

紅緒が本当に少尉が自分の元に帰ってきてくれたんだと喜びますが、どうしてもラリサがネックとなり、三角関係になりかけました。

そして一度は他人の夫の身代わりになった理由で少尉を嫌いになった!と紅緒は伊集院家を出て、実家に戻ると少尉はラリサを伊集院家に向かえて療養させます。

紅緒への愛情は変わらない少尉でしたが、何処にも行く当てがないラリサも見捨てることが出来ず、苦しんでいました。一度は本当に身を引く決心をした紅緒ではありましたが。

ラリサは紅緒にとっては邪魔な存在で、折角生きて帰って来た少尉になかなか近づけませんでした。でもラリサはそんな少尉を助けてくれた恩人で、感謝すべき女性でもありました。

でもラリサ自身も少尉を自分の夫の身代わりをさせたことは反省していました。ですから根っからの悪女ではありません。

少尉の部下鬼島軍曹!遥か遠いシベリアの空の下で誓い合った友情!

印念中佐の企みにより、九州の小倉からシベリアに送られてしまった少尉は紅緒と折角愛しあえるようになったのに、無残にも引き裂かれて辛いながらも紅緒との手紙のやり取りをしていました。

紅緒の手紙を読んで笑っている少尉の姿を見て面白くない集団がいました。それは小倉連帯の隊員たちです。どの男性も不良っぽく、ヤクザまがいの仲間はずればかり。その部下たちを少尉が隊長として仕切ることになりました。

その中に鬼島軍曹の姿がありました。鬼島の顔には頬に切り刻まれたような傷跡、そして左目は失明し、何とも怖いつらの顔立ちをしていました。実は鬼島は幼いときに両親を亡くし、田舎の親戚の家に引き取られていましたが、彼の母親が芸者だったので、「芸者の子供」として親戚からは疎ましい存在であったのです。ですから近所の子供達からも「芸者の子供の森吾!」とバカにされ続けて辛い幼少時代を過ごしてきました。

森吾とは鬼島の下の名前で、フルネームは鬼島森吾です。物語では鬼島軍曹と呼ばれており、詳しい本名までは触れられることはありませんでした。

鬼島が幼少時代にある男性を長い事待ち続けている若い女性「ゆきの」に母親の面影を重ねていました。ですがこのゆきのという名前の女性は女郎だったのです。昔女郎は世間からとても白い目で見られる職業で、当然小さかった鬼島にはそのことは理解出来ず、ゆきのと付き合っていました。

ですがそのゆきのが雨の中を逃げ出した時に、村人たちから追いかけられ、それを阻止しようとした鬼島が村人に突き飛ばされて、運悪く鋭く突き出ていた木の枝に左目がささってしまい、大けがをしたのが原因で失明してしまい、頬にも傷跡が残りました。

女郎の逃亡は大昔は罪であり、鬼島の前でゆきのは自殺を図ってしまいました。ですからその後の鬼島は今で言う不良少年になってしまったのです。

最初は東京から来た少尉を「どうせ根性のないおぼっちゃん将校だろうぜ!」とバカにしており、昼間から日本酒を飲むなど、仲間とわざと少尉に対して言うことを聞かないことをしていました。「気に食わない野郎だぜ!」と少尉を嫌っていました。

部下が言うことを聞かない少尉は、鬼島と喧嘩になり、その仲間たちまで加勢しようとする卑怯な手段を取ります。そんな時にシベリア本部の上官に喧嘩を阻止され、少尉は隊長として上官に殴られます。

鬼島は「喧嘩のこといいつけてもいいんだぜ、少尉さんよ。どうせ俺たちは嫌われ者のならず者だからな。」でも少尉は決してこれは喧嘩じゃなく、戦いに向けての練習だと言い張ります。つまり少尉は部下たちを庇ったのです。

その言葉が原因で、少尉の連帯はシベリアの前線への戦いに送られる羽目になり、これがきっかけで鬼島をはじめとするならず者隊員たちは少尉を見直し、隊長として認め、敬礼をします。

そして鬼島と少尉の間に友情が生まれたのです。遥か遠いシベリアの空の下で。

シベリア前線に送り込まれた少尉とその隊員たちは、何とか無事に日本へ帰れるために戦い抜こうと誓い合います。鬼島はそんな少尉を信じ、少尉もまた鬼島を信じ、2人は固い絆で結ばれました。

ですがコサック兵との戦いで、鬼島は銃で足を撃たれてしまい、動けなくなってしまいました。1人の隊員でも見捨てることの出来ない少尉は鬼島を助けに向かいましたが、運悪くコサック兵に襲われて刺されてしまい、突き落とされてしまったのを目の当たりにし、その後逃亡兵としてまたもや悪人に戻り、満州で馬族になってしまいました。

ですが偶然満州で紅緒と出会ったことで改心しました。

紅緒の幼馴染蘭丸!役者根性あるのか、実に行動的な女形さんである

紅緒の隣りの家に住む藤枝蘭丸は、歌舞伎役者を目指していました。彼も紅緒と同様に母親を小さいころに亡くし、紅緒が蘭丸の母親の代わりとして得意の剣道などで蘭丸を鍛えようとしていました。お転婆で男勝りの紅緒とは幼馴染ではありながらも、蘭丸はそんな紅緒が好きでした。いつか結婚出来るのではないかと思っていました。

でも結局は片思いにしかすぎず、紅緒の縁談が決まるとさすがに大ショックを受けてしまいます。ですが女性心のある蘭丸、役者根性からして結構行動的な女形さんです。

紅緒と「駆け落ちしましょう!」と大胆発言します。紅緒はまさか蘭丸が自分を好きで、愛していたなど夢にも思っていませんでした。渋々蘭丸のかけおちに同行するも、でも蘭丸の思っていたような駆け落ちにはなりませんでした。

駆け落ちの途中で、車引きの牛五郎と紅緒が喧嘩となり、負けた牛五郎が紅緒を親分と呼ぶようになり、居酒屋で駆け落ちどころか返って紅緒に酒の味を覚えさえ、酒乱にまで発展させる羽目になってしまいました。

そこで偶然居酒屋にやってきた少尉と逢い、蘭丸は少尉に対して「僕は紅緒さんが好きだ!」と恋敵宣言をします。

暫くして紅緒が伊集院家へ見習い花嫁として「すぐに追いだされて帰るつもり。」と言ってなかなか戻らない彼女を心配して、ここでも蘭丸は大胆行動に走ります。それは伊集院家のメイドとして乗り込んできたのです。

紅緒の気持ちが少尉に行かないように、牛五郎と騒ぎを起こす蘭丸です。彼は本当に小さい時から紅緒一筋だったんですね。髪型まで洋髪に変え、こういうときこそいかに女形型役者が役立つと張り切る蘭丸でした。

ですがメイドに化けていても、とうの少尉にはすでにバレバレでした。それに少尉は紅緒が蘭丸のことを好きじゃないことも分かっていましたから、周囲には何も言わなかったんですね。メイドの蘭丸が実は男だと言うことを。

でも酒場で印念中佐と喧嘩になった時、紅緒が危険にさらされそうになって蘭丸は勇敢にも「紅緒さんに何をする!」と喧嘩相手に立ち向かっている所も見せています。女形さんでも好きな女性を守ろうとする男性の本能が蘭丸にもあったんです。結局は突き飛ばされてけがをしてしまいましたが。

でも少尉が運悪く転属でいなくなっても、蘭丸は引き続きメイドとして伊集院家に居座り続けます。でもそんな紅緒を見ているうちに蘭丸は女性の心から、紅緒が少尉を心から愛していることに気が付きます。そして少尉の戦死の公報が入った時、紅緒を助けたい!と懇願しますが、紅緒の説得により、家に戻って役者修行に戻りました。

それでも蘭丸はやはり紅緒の手助けをし続けていました。一度は死んだと思われた少尉が記憶喪失により、サーシャミハイロフ公爵の身代わりとされ日本に来たときには役者本能からか、少尉とすぐに見破っています。

その後はヨーロッパで歌舞伎役者公演のため、出番はありませんでした。帰国後、紅緒が少尉に愛想をつかして伊集院家を出て、実家に戻ってきているのを知り、その原因がラリサであることを話すと、「なんで簡単に諦めちゃうの?取ってもいいんじゃない!」と説得します。この時の蘭丸は何とも男らしいです!素晴らしい!

蘭丸には紅緒が少尉を激しく愛しているのをもう分かっていて、諦めました。ですが紅緒の間違った判断にはちゃんと抗議するなど、本当に蘭丸は紅緒のことを真剣に思っていたことがよく分かりました。

心は女性的でも男らしさを見せてくれた蘭丸でした。ですが彼は余りにも考えだしたことをすぐに行動的に移すなど本当に大胆すぎる所が多かったとも言えます。

少尉の上官・印念中佐!彼こそ物語の一番のトラブルメーカーだ!

はいからさんが通るの物語の中で、実に厄介なそして一番のトラブルメーカーと言えば、少尉の上官の印念中佐ではないでしょうか?

印念中佐は、紅緒の父の花村少佐の上官でもあります。この印念中佐は名前のごとく、とても腹黒い性格、一度恨むとなかなか忘れることをしない何とも執念深いというか、しつこい男でもあります。

居酒屋で紅緒と牛五郎、蘭丸の3人でお酒を飲んでいたのがたまたま運のつきで、居合わせた印念中佐と酒乱が原因で紅緒は喧嘩してしまいます。

勿論この時紅緒は、喧嘩相手が自分の許嫁少尉の上官、印念中佐とは知りませんでした。駆けつけた少尉によって改めて知ることとなります。「こんなのでも中佐になれるの?へ~え!」とバカにされた印念中佐は紅緒以上に少尉に恨みを抱きました。

笑い上戸の少尉にもバカにされたと錯覚し、陸軍中佐の立場を利用してとんでもないことを考えてしまいます。それは「シベリア出兵」でした。九州の小倉部隊がシベリアへ送られることをすでに彼は分かっていながら、少尉を転属させる策略に見事成功させました。

やっと紅緒と少尉が愛し始めた時に限って、とんでもない突然の転属の命令。紅緒は少尉が転属させられることに酷いショックを受けました。そしてこれをしかけたのが紅緒の父の証言により印念中佐だと分かると、陸軍司令部隊へ抗議しに行った時には、すでに印念中佐は満州へ転属になってしまいました。

彼は紅緒の仕返しが怖くて、わざと満州へ行ってしまいました。

元々少尉のことをよく思っていなかった印念中佐は、本当に怖い人物です。陸軍関係には何でも意見が通り、一度出た命令は取り消すことが絶対出来ないほどの権力の持ち主でもあったのです。

ですが少尉の仕返しには成功出来ても、紅緒の仕返しが怖くて満州へわざと自分で転属になるなんて臆病者ですね!

それにもまして、シベリア出兵になった少尉の部下には「ならず者」ばかりを並べたのも印念中佐のたくらみでした。その「ならず者」には後に部下になる鬼島軍曹が混じっていました。

東京の陸軍将校出身であっても、お金持ちのおぼっちゃん育ちの少尉にはヤクザがらみたちの集まる上官など務まるわけがないと思ったのでしょう。どこまで少尉を落とし入れれば気が済むのか印念中佐!怒りが読者としてはこみあげてきました。

そして少尉が戦死と伝えられて暫くして、紅緒は満州の馬族が九州の元小倉部隊で、もしかして少尉が生きているのでは?と真相を確かめに来ます。そこで紅緒と印念中佐は偶然会ってしまい、「お前は伊集院の許嫁のじゃじゃ馬娘!」と驚きます。

でも印念中佐は、昇格して大佐になっていました。しかし馬族のリーダーは少尉ではなく、部下の鬼島だと分かると紅緒は大ショック!そして鬼島の口から少尉は死んだのだと聞かされましたが…!

最初は鬼島は、満州の陸軍を恨み、村長の娘を人質に取り、身代金を取ろうとした悪事を働こうとしていました。ですから紅緒が人質の交換として乗り込み、彼女が少尉の許嫁だと知ると改心して、印念大佐のいる陸軍に集団で仕返しをします。

印念大佐は、ここでも腹黒いたくらみを考えてました。人質交換になった紅緒をそのまま見殺しにしてしまったのですから…!

紅緒にとって愛し始めた大切な少尉をシベリア出兵にさせた上に、戦死させ、今度は満州へやってきた紅緒を見殺しにするなど、本当に印念大佐は一番のトラブルメーカーです。

紅緒と鬼島の仕返しの後、出番がなくなった印念大佐。悪人はまさしく消えて当然!と言った所ですね。

紅緒の親友の環!少尉に見事失恋、でも意外な男性を好きになった!

女学校時代から紅緒の親友・北小路環(きたこうじたまき)は公家出身のお嬢様で、育ちがよく、紅緒とは正反対の美人、成績優秀の女性です。ですから家事全般は勿論得意で、沢山の男性と交際するなど、紅緒をはじめとする周囲の同級生たちを唖然とさせました。

そんな男性との交際の多い環ではありましたが、実は彼女は小さいころから思いを寄せていた意中の男性がいたのです。それは何と紅緒の許嫁の伊集院忍少尉でした。

環は公家の育ちであっても、近代的な女性であり、「親の決めた結婚なんかまっぴら!」と宣言していました。「好きな男性と結ばれてこそ結婚の価値あり」と彼女の頭の中ではいつもそういう考えであったのです。

ですから紅緒が親の決めた縁談話を環に相談すると、「紅緒じゃ恋愛はね…!」と言いますが、「そんなこと言ってる場合じゃない!」と紅緒の縁談の破談を応援しようとします。でもその紅緒の相手がまさか自分の好意を寄せている少尉とはまだ気づいていませんでした。

一方の環も紅緒に「実は意中の相手がいて、見事に失恋しちゃった。」と打ち明けます。紅緒は「まさか~!」と思いますが、環の好きな男性は一体誰なんだろう?と興味を持ちます。そしてオペラ見学に環が紅緒を誘い、劇場前で待ち合わせると何と!少尉の姿が!

親友の紅緒の許嫁が自分の好きな少尉だと分かり、大ショックを受けた環はその場を立ち去ってしまいました。その後紅緒を避けるようになりますが、紅緒が見習い花嫁ぶち壊し作戦で少尉に愛想をつかされるようにする提案を環に話すと、彼女は紅緒をまた応援するようになります。

その後紅緒が伊集院家へ見習い花嫁として乗り込むと、環は何とか紅緒が縁談を壊すことに成功し、少尉が自分の方へ向いてくれることを願います。ですが肝心の紅緒も段々少尉に魅かれ始め、ときめきを感じるようになりました。

少尉が友人を招いて園遊会を開いた時に、環も招待客で招かれます。紅緒が縁談ぶち壊し作戦に苦悩していることを聞くと、少尉を呼び留めて2人きりで話しをします。そこで少尉が紅緒に対して「この家の古いしきたりを壊してくれるのは彼女しかいないんだ。」と少尉も徐々に紅緒に魅かれ始めていることを知ると、環は少尉の心の底には紅緒しかないと認めて、身を引く決心をしました。

でも自分の好きだった少尉の許嫁が紅緒と分かって、一度は衝撃を受けた環もそんな紅緒の幸せを願うようになり、引き続き親友として付き合っていきます。

女学校卒業後、環は婦人記者となって活躍します。職業婦人になっても相変わらず紅緒との親友関係は変わることなく、紅緒の良き相談相手でもありました。

少尉と同じ公家育ちで幼馴染だった環は、大学進学はせず、ひたすら職業婦人の道を歩きました。元々自由な恋愛をしたがる彼女は新しい恋を目指しつつ、仕事も頑張りました。

戦死と伝えられた少尉が実は、サーシャミハイロフ公爵と名乗っていたことが分かり、物語は意外な展開をしつつも、環は意外な男性に魅かれ始めます。その男性と言うのが、少尉の部下の鬼島軍曹です。

初恋の人少尉とは全然性格の違う、一見乱暴そうに見える鬼島軍曹ですが、実はとても心優しい面があり、一度は紅緒が好きだったことも環は見抜いています。

鬼島軍曹は「バカやろ~!」「なんだと!」と言葉を荒げる所が多いのですが、とてもテレやな男性でもあります。素直じゃないんですね。それでも環は鬼島が好きになりました。

関東大震災後、鬼島は満州へ帰っていくと環は彼を追っていきました。まさしく押しかけ女房です。行動的な彼女です。

キャンディの恩人アルバートさん!彼の隠された多くの秘密とは?

ラガン家を飛び出して、川を下ってポニーの家へ帰ろうとしたキャンディは運悪く滝に落ち、おぼれてしまいました。それを助けてくれたのがアルバートさんです。初めての対面で、キャンディはアルバートさんの人相が余りにも怖くて二度も意識を失いました。

黒髪でひげ面、サングラスをかけてきたない服を着ていたので、キャンディにとってはよほど怖く見えたようです。でも見かけとは違って、とても親切で優しい男性だとキャンディはすぐに分かります。スカンクのプッペがアルバートさんの親友であり、また彼は沢山の動物たちと一緒に古い屋敷に住んでいました。

ですが実はこのアルバートさんは色んな隠された秘密を持っていたことが物語の終盤で明らかになっていきます。

アンソニーが死んだときに悲しみに暮れるキャンディを励ましたり、その後キャンディがイギリスの寄宿舎に入って喧嘩したテリィのために深夜のロンドンへ薬を買いに行ったキャンディと偶然再会するなど何だか謎めいたことが多く見られました。

この時アルバートさんは自分の連れてた動物たちが捕まって、ロンドンおくりになったので、自分も来たとキャンディに話しています。アルバートさんはロンドンのブルーリバー動物園で働いていました。テリィの喧嘩を手助けしたのもアルバートさんで、テリィも彼と親しくなりました。

その後アルバートさんはアフリカへ旅立っていきました。アフリカで彼は自然や動物たちと触れ合っていました。

ここで運命は急展開し、アルバートさんは戦争に巻き込まれ、記憶喪失となり偶然にも、キャンディの勤めている病院へ担ぎ込まれました。病院中ではアルバートさんは悪人ではないかという根も葉もない噂を立てられた上に、病院で十分な看護をしてもらえなかったため、キャンディが記憶喪失のアルバートさんの面倒を見つつ、一緒にアパートに住むようになりました。

でもある日、レストランでバイト中に彼は突然激しい頭痛に襲われながらも、やっと記憶が戻りました。

そのとたんに彼はキャンディから姿を消してしまいました。そして物語の終盤!キャンディがニールとの婚約を取り消すために初めてウイリアム大おじさまとの直談判に行くと!何と椅子に座っていたのはアルバートさん。彼が実はウイリアム大おじさまの正体だったと驚きを隠せないキャンディでした。

何故アルバートさんがウイリアム大おじさまだったのでしょう?それは幼少時代エルロイ大おばさまが早くに両親を亡くしたアルバートさんをアードレー家の総長として教育するために後見人になったのが始まりでした。

まだ幼いアルバートさんを総長にすることは、大おばさまをはじめとするアードレー家のお偉い方だけの秘密とされ、了承されました。ですがアルバートさんはしきたりに縛られることを嫌い、アードレー家を出てしまい動物たちと自由に暮らすことを生きがいとしました。

それで変装してたんですね。でもアルバートさんは、キャンディをいつも陰から見守り、メキシコに売られそうになった時に丁度アンソニー、アーチー、ステアの手紙を読んでキャンディを養女にしてくれました。

ですからキャンディが寄宿舎に入って、大おじさまとしてロンドンに来ててもおかしくなかったんですね。

それにアルバートさんはアンソニーの母の弟であることをキャンディに話しており、アンソニーは甥だったことも分かりました。

そして!キャンディが長い事思い続けていた丘の上の王子さまの正体もアルバートさんでした!

キャンディが出会った時の丘の上の王子さまは、まだアルバートさんが少年の頃で、バグパイプを持って歩いてた時に偶然泣いてる彼女を見つけたのでした。

意地悪兄妹ニール&イライザ!性格悪い割にはキャンディに負けた!

キャンディ・キャンディのストーリーの中でヒロイン・キャンディの引き立て役といえば、ラガン家の意地悪兄妹ニール&イライザです。2人の両親はとても甘く、特に母のサラは子供達に対しては大甘でした。

ですからニールもイライザも共に性格が悪い上に、我がままで自分より弱い立場の者をけなす、バカにする、イジメるなど本当にいい所なしの兄妹です。ですが意地悪兄妹の割には、仲が良かったんですね。

そしてイライザの話し相手として、ポニーの家からキャンディを引き取りますが、初めての出会いからもう最悪でした。バルコニーから下にいるキャンディに洗面器で水をかけてびしょぬれにさせたり、ラガン家での暮らしを始めたキャンディに様々ないたずらをしかけては、キャンディのせいにしていました。

そしてイライザはキャンディのことを「くさあい!」そしてニールはキャンディの髪を引っ張ったりするなどイジメはどんどんエスカレートしていきました。でもキャンディはニールと対等に喧嘩して勝ちましたが、ニールのわざとらしい泣き声で、ラガン夫人に叱られたりするなど何とも理不尽な扱いをされました。

その後もイジメは続きます。キャンディがパーティーでアンソニーと踊ったことを妬んだイライザはキャンディを話し相手から使用人にするようにラガン夫人に話します。ラガン夫人もキャンディを甘やかした、これからの対面を考えたらその方がいいと考え、屋根裏部屋から馬小屋で寝起きするように命じます。

キャンディにとっては辛い日々の連続でしたが、彼女は決して負けてはいませんでした。ニールにしてもイライザにしても、さんざんキャンディをイジメてたわりには全然勝てることは出来ませんでした。

一番最初に2人がキャンディに負けたのは、ポニーの家からの手紙を読んでいたキャンディの邪魔をし、丘の上の王子さまの落としたペンダントを取り上げて、キャンディを泣かせてしまいました。が、キャンディがバラの門の前でアンソニーと出会い、元気を取り戻して通りかかるとまたもや2人は「泣き虫がきたぞ~返して返してよ~!」「あんたいつ孤児院に帰るの?」とからかいます。

でもキャンディが自信たっぷりに「帰らない!」と発するとたちまち2人は悔しがりました。キャンディは「これからもくだらない意地悪沢山するだろうな。でもどんな意地悪するのか楽しみ!」と開き直ってしまいます。

それでもキャンディのイジメに懲りない2人は、今度はキャンディに泥棒の濡れ衣を着せてしまいます。しかもエルロイ大おばさま、ラガン夫人の前で自分たちの業と仕掛けた罠なのに、キャンディが泥棒なんだと信じ込ませ、メキシコへ売り飛ばそうとしました。

キャンディを泥棒にしたてたことで、一度は追い出したことに成功したと感じたニールとイライザでしたが、またもやここで負けました。

しかし、ひょんなことからニールはキャンディを意識するようになりました。その理由はニールが街中で不良にからまれていたのをたまたまキャンディが通りかかって助けたからでした。

もしかして自分に気があるのではないか?とキャンディに猛烈に迫るニールでしたが、キャンディに「あなたが大嫌い!」ともろに言われて怒りが込み上げました。ですがやはりキャンディを諦めきれないニールは卑怯な手段で家族を巻き込んで「ウイリアム大おじさまの命令でニールと婚約せよ」と命じさせます。

しかし真実を知ったウイリアム大おじさまの出現で、婚約は簡単に解消されてしまいました。

ニールとイライザはどんな意地悪をしても、常にキャンディには負けていました。結局悪いことをすると必ず後でお返しが来るという証でしたね。

キャンディを愛したアンソニーとテリィ!アナタはどちらがタイプ?

ヒロイン・キャンディは2人の男性を好きになりました。アンソニーとテリィです。アンソニーはキャンディにとっては初恋の人。6歳の時にポニーの丘で出会った「丘の上の王子さま」に瓜二つでもしかしたら王子さま?と錯覚したキャンディではありましたが、実は王子さまとアンソニーは別人でした。

キャンディがアードレー家の正式な養女になれたのは、アンソニー、アーチー、ステアのお蔭でした。3人がアードレー家の総長、ウイリアム大おじさまの心を動かしたからです。

養女になって、急接近するキャンディとアンソニーでした。アンソニーがキャンディに自分の生い立ちについて話します。アンソニーの母ローズマリーは病気がちで、バラの品種が趣味でした。ですがアンソニーがまだ幼いときに母は他界し、その後アンソニーがバラを育てたり、手入れをするようになります。アンソニーの父は1年中船乗りで不在でした。

アンソニー曰く、彼の母の目はキャンディと同じ緑の目をし、子供の頃はそばかすもあったそうです。そうなるとアンソニーがキャンディを愛したのは、母の面影を追っていたことも考えられます。

バラを育てることが上手で、乗馬の腕はなかなかのものです。アンソニーも小さいころから1人ぼっちで寂しい思いをしたのです。ですが運悪くきつね狩りの日に、落馬して命を落としてしまいました。

キャンディを愛したもう1人の男性テリィ。テリィも自分の過去をキャンディに話します。両親と3歳くらいの時にピクニックに行った時のことです。あんまり覚えはないけど楽しかったとテリィは話しました。

その両親がグランチェスター侯爵と女優のエレノア・ベーカーでした。ですがテリィはエレノア・ベーカーの隠し子として常に秘密にされていました。それは母のエレノアがアメリカのブロードウエーで独身美女女優を通し切る、といった理由があったからです。

父グランチェスター侯爵は貴族としての立場があるため、エレノアとは別れてしまいました。そんな父に反感を抱いていたテリィは、イギリスの寄宿舎に入るとたちまち不良少年に。

両親に見捨てられ、孤独を感じるようになったテリィは学園内では不祥事を起こしては、たちまち問題児になってしまいました。ですが院長のシスターグレーはそんなテリィに手を焼きながらも、グランチェスター侯爵に学園の寄付金を出してもらってる以上、何も言えませんでした。

ですがその孤独感を払いのけてくれたのが、キャンディとの出会いでした。最初は喧嘩したり、キャンディの容姿をバカにするなどちょっとアンソニーとは性格が違いすぎる印象があります。

そうなりますとアンソニーは、大人しいけれど隠れたたくましさがある反面、テリィは孤独感がありながらも、本当は野生的な男らしさを沢山持っているので、喧嘩が強く、たくましさがある男性の印象です。

髪型にしても2人は実に対照的で、アンソニーは金髪で、テリィは長髪でサラサラ系。共通点はお金持ちの何不自由のないおぼっちゃま。環境的には、恵まれた生活をしていても、アンソニーもテリィも孤独感があり、寂しい思いをしていたのは間違いありません。

でも彼らはキャンディを心から愛していました。さあ、アナタだったらアンソニー、テリィのどちらがタイプですか?

私個人としてはテリィがタイプです。テリィは男らしくて包容力があり、一度愛した人には一筋って印象があるからです。

アンソニーも実に良かったんですが、彼は残念ながら早くに他界してしまいました。もし落馬で命を落とすことがなければキャンディと結ばれていたかもしれません。

運命のいたずらか、お互い愛し合えても結婚までは至りませんでした。

愉快な兄弟ステア&アーチー!キャンディの良きボーイフレンド達だ

キャンディにとって、心強い味方でもあり、時にはボーイフレンド、そして大きな存在であったアードレー家の一族のステア&アーチーの兄弟がいます。正式名はアリステア・コーンウェル、アーチーボルト・コーンウェルです。

この2人の兄弟はとっても仲が良く、そして従弟のアンソニーとも仲良しでした。アンソニーと3人スコットランドの衣装に身を包み、バグパイプが吹けます。元々アードレー家はスコットランド系だと言われています。

まず弟のアーチーがキャンディと出会ったきっかけは、アーチーがステアの作った水の門の船で昼寝をしていた時に、キャンディが誤って門の留め金を引いてしまったことでした。

アーチーが「ボートが流されちまう~早く投げ縄取ってくれよ!」とキャンディに叫び、縄を見つけたキャンディがアーチーめがけて投げると見事に的中しました。

アーチーはとてもおしゃれな青年で、シルクのブラウスを濡らしたくなかったので、わざと泳がなかったのです。アーチーは一目でキャンディを気に入り、手にキスしたり、投げキスをしたりするなどなかなか見せてくれるではありませんか。

兄のステアがキャンディと出会ったのは、たまたまキャンディがニールとイライザの意地悪によりわざと置いてきぼりにされてしまい、「あ~、今日は黒星!」とキャンディがつぶやくと、「何が黒星なんだい?」といったことでした。ステアに車で送られるキャンディでしたが、ステアの車は途中でめちゃめちゃに壊れてしまい、2人は湖に落ちてしまうといった愉快な結末でした。

その後ステアとアーチーはキャンディと親しくなっていき、好意を寄せて行きます。ニールとイライザの意地悪に対しても2人はいつもキャンディの味方で、一時キャンディが行方不明になった時も必死に探すなど、なかなかできることではありません。

兄のステアは発明好きな青年で、いつも愉快なものを発明しては、周りを笑わせてくれました。でも彼の発明品はいつも失敗作ばかりで、弟のアーチーやキャンディをあきれさせていました。

でもステアは発明品が失敗であっても、別に落ち込むことなく、いつも笑って「また新しいのを作ってみせるさ!」といつも前向きでした。

最初はステアもキャンディに恋心を抱かせていましたが、後にイギリスの寄宿舎でメイフェスティバルが行われた際に、パティと出会い、お互いに恋仲となりました。

でも一方のアーチーは、ステアと比べたらキャンディに対しては激しい恋心があり、アンソニーの死後ますますキャンディを好きになりました。というのも、アニーが自分を好いていることを分かりつつも、どうしてもキャンディへの思いが強まるばかりで、テリィとキャンディが仲がいいのを見た時にはさすがに嫉妬してしまいました。

でもキャンディがテリィを愛し始めたのを確信したアーチーは、やはりまだキャンディが好きだと思いつつも、自分に思いを寄せていてくれたアニーを受け入れることにしました。

ステアにはパティが、そしてアーチーにはアニーといったそれぞれの恋人が出来ても、2人はキャンディを良き友達、味方として接することは変わりませんでした。

こんなに愉快で素敵な兄弟に出会えたキャンディは、意地悪なニールとイライザをギャフンと言わせる本当に心強い味方兼ボーイフレンドだったと言えます。

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