いがらし先生の代表作としてもう1つ恋愛漫画の「レディ・ジョージィ」があります。これは「キャンディ・キャンディ」とはまた違ったラブロマン溢れる作品でもありました。

井沢満氏が原作で、この漫画の主人公・ジョージィはオーストラリアで兄2人と母の4人家族で暮らしていました。ジョージィの暮らす家は牧場を経営する所で、父亡きあと兄と母と一緒に牧場を切り盛りしてきました。

ジョージィの腕には見事なブレスレットがついていました。亡くなった父がいつも身に付けて置くようにとジョージィに言い聞かせていたのです。でもこのジョージィのブレスレットはある重大な秘密が隠されていました。

でもそんなこととは知らずに、ジョージィは兄のアベルとアーサーと仲の良い兄妹として、オーストラリアの大地を駆け回っていました。

でもアベル、アーサーの母はジョージィにはいつも冷たく当たっていました。ジョージィはそんな母の態度に対して悲しく思っていました。

ジョージィが14歳、アベルが17歳、アーサーが16歳に成長した時、2人の兄はジョージィを妹として見なくなってきました。美しい女性へと変わっていくジョージィにアベルもアーサーも妹から1人の女性として愛するようになってしまったのです。母は2人の息子がジョージィを愛するようになるのが一番不安要素でもあり、だから彼女に対しては優しく接することが出来ませんでした。

ジョージィは実はイギリスから渡ってきた流刑囚の子供で、嵐の中、流刑された夫(ジョージィの実の父)を追って妻が赤ちゃんのジョージィを抱いて追いかけていた時、運悪くカミナリが落ちた木の下敷きになり亡くなってしまいました。その時、拾ったのがアベルとアーサーの父だったのです。

母は流刑囚の子供を育てることに猛反対しましたが、父は「この子は神様がお与えになった私達の子供だよ。」と実の娘としてジョージィを育てることにしました。ブレスレットはジョージィの実の母の形見だったんですね。

特にアベルはジョージィに対して、妹以上の激しい愛を抱き、誰にもジョージィを取られたくない思いが強くなっていきました。でもジョージィがイギリスから来たロエルと恋に落ちたことを知った時には怒りと共に激しい嫉妬心で、それをめぐってアーサーと喧嘩してしまいました。

2人の息子がとうとうジョージィを愛してしまったことに激しいショックと怒りを感じる母は、もうジョージィを追いだすことしか頭にありませんでした。そしてとうとう我慢が爆発、ジョージィに「お前はうちの子じゃない、お前の父は流刑囚なんだ!」と出生の秘密を明かしてしまい、激しいショックを受けたジョージィは皆に迷惑はかけられないと自ら出生の秘密を知るため、イギリスへ行ってしまいました。

それからのジョージィのイギリスでの運命は過酷なものでした。

ですがこの漫画を見ていて、恋愛ストーリーだということは分かりましたが、ロエルとジョージィのキスシーン、とても10代とは思えないラブシーンは当時としてはとても過激だったのではないかと思われます。ロエルと別れた後、ジョージィはアベルの愛を受け入れますが、今まで兄として一緒に暮らしてきたのに、急に1人の男性として見るなんて果たして出来るでしょうか?普通だったら出来ないはずです。

しかもアベルの子供を妊娠するとは!原作では急展開するも、結局ジョージィもキャンディと同じく好きな男性とは結ばれることは出来ませんでした。実の父に会えることは出来ましたが、ジョージィの運命はアベルの命さえも奪ってしまうほどの過酷さでした。

詳細は原作漫画を読んでいただくとお分かりになります。