ベルサイユのばらと言えば、何といっても主人公のオスカルだということは殆どの方がご存知のはずです。オスカルは貴族ジャルジェ家の6人姉妹の末っ子として誕生しました。

ですがジャルジェ家は王家にお使いする将軍でした。でもどういうわけか男児には恵まれず、末娘として誕生した赤ちゃんの鳴き声が元気がよく、父レ二エはこの末娘にオスカルと名付け、自分の後継者として男の子として育てることを決意しました。

ばあやは勿論反対はしましたが…レ二エの意見に反論することは出来ませんでした。その後オスカルは男性として厳しく馬術、剣などを叩き込まれました。そこでばあやの孫であるアンドレと出会い、最初は幼馴染としてまたは遊び相手として幼少時代を過ごします。

女性でありながらも、心の中は男性として生きて行くオスカル。近衛兵としてマリーアントワネットの専属護衛として忠実に尽くし、すっかり男性並みの厳しい人生を歩んでいくのでした。

誰もがオスカルを女性と分かっていながらも、同性から憧れることの多いオスカルでした。「オスカル様」と呼ばれますが、彼女は決して一般市民を相手にすることはありませんでした。

ですがひょんなことから、貧しい少女との出会いでパリの下町の生活がどんなに悲惨なものかをオスカルは目の当たりにします。元々正義感の強いオスカルはマリーアントワネットにも貧困市民のことも考えて欲しいと申し出ますが、マリーアントワネットは他のことで頭が一杯でオスカルの言葉は聞いていませんでした。

貴族の生活は贅沢三昧で、下町市民は明日も食べるものが手に入るのが難しいこの激しい差にオスカルは疑問を感じます。「今のままで本当にいいのか?王妃様にこのパリの現状を知っておいてもらわねば!」と必死になります。

でも正義感のある男性並みのオスカルではありますが、やはり女性である面も沢山見せてくれます。それは初恋の人スェーデンのフェルゼン伯爵との出会いです。そもそもオスカルがフェルゼン伯爵と初めて出会ったのは、マリーアントワネットが馬に乗って危険にさらされそうになった所をオスカルが助けて、最初はフェルゼン伯爵自身もオスカルが女性だとは思ってはいませんでした。

物語が進むうちに、フェルゼンが仮面舞踏会で出会ったマリーアントワネットに一目ぼれをし、またアントワネット自身もフェルゼンに好きになり、お互い相思相愛になってしまいます。

このことを知ったオスカルはフェルゼンが自分よりアントワネットの方に心惹かれていることで彼を諦めようとしますが、葛藤がありました。「やはり私は女だ。1人の男性に魅かれることはいけないのだ。」と近衛兵としての誇りとアントワネットへの忠実な下部として尽くしていくことを決意し、オスカルの淡い初恋は終わりとなりました。

でも唯一男性として生きてきたオスカルが、女性としてドレスを着て、パーティーに出席し、フェルゼンを忘れるために彼と踊った姿は何とも印象的でした。

フェルゼンには失恋しましたが、その後は友人として付き合うようになりました。でもオスカルにはバックにとても大切な男性がいつもいました。それは幼馴染のアンドレです。アンドレはいつも影ながらにオスカルを暖かく見守っていました。

いつも自分を見つめていてくれたことに気づいたオスカルは、やがてアンドレを愛するようになり、身分を超えた愛情へと発展していきました。

生まれた時から男性として生きてきたオスカルも、たくましいながらもやはり心は女性であり、フェルゼンとの初恋、そしてアンドレとの愛など女性らしい場面も沢山見ることが出来ました。