はいからさんが通るの物語の中で、実に厄介なそして一番のトラブルメーカーと言えば、少尉の上官の印念中佐ではないでしょうか?

印念中佐は、紅緒の父の花村少佐の上官でもあります。この印念中佐は名前のごとく、とても腹黒い性格、一度恨むとなかなか忘れることをしない何とも執念深いというか、しつこい男でもあります。

居酒屋で紅緒と牛五郎、蘭丸の3人でお酒を飲んでいたのがたまたま運のつきで、居合わせた印念中佐と酒乱が原因で紅緒は喧嘩してしまいます。

勿論この時紅緒は、喧嘩相手が自分の許嫁少尉の上官、印念中佐とは知りませんでした。駆けつけた少尉によって改めて知ることとなります。「こんなのでも中佐になれるの?へ~え!」とバカにされた印念中佐は紅緒以上に少尉に恨みを抱きました。

笑い上戸の少尉にもバカにされたと錯覚し、陸軍中佐の立場を利用してとんでもないことを考えてしまいます。それは「シベリア出兵」でした。九州の小倉部隊がシベリアへ送られることをすでに彼は分かっていながら、少尉を転属させる策略に見事成功させました。

やっと紅緒と少尉が愛し始めた時に限って、とんでもない突然の転属の命令。紅緒は少尉が転属させられることに酷いショックを受けました。そしてこれをしかけたのが紅緒の父の証言により印念中佐だと分かると、陸軍司令部隊へ抗議しに行った時には、すでに印念中佐は満州へ転属になってしまいました。

彼は紅緒の仕返しが怖くて、わざと満州へ行ってしまいました。

元々少尉のことをよく思っていなかった印念中佐は、本当に怖い人物です。陸軍関係には何でも意見が通り、一度出た命令は取り消すことが絶対出来ないほどの権力の持ち主でもあったのです。

ですが少尉の仕返しには成功出来ても、紅緒の仕返しが怖くて満州へわざと自分で転属になるなんて臆病者ですね!

それにもまして、シベリア出兵になった少尉の部下には「ならず者」ばかりを並べたのも印念中佐のたくらみでした。その「ならず者」には後に部下になる鬼島軍曹が混じっていました。

東京の陸軍将校出身であっても、お金持ちのおぼっちゃん育ちの少尉にはヤクザがらみたちの集まる上官など務まるわけがないと思ったのでしょう。どこまで少尉を落とし入れれば気が済むのか印念中佐!怒りが読者としてはこみあげてきました。

そして少尉が戦死と伝えられて暫くして、紅緒は満州の馬族が九州の元小倉部隊で、もしかして少尉が生きているのでは?と真相を確かめに来ます。そこで紅緒と印念中佐は偶然会ってしまい、「お前は伊集院の許嫁のじゃじゃ馬娘!」と驚きます。

でも印念中佐は、昇格して大佐になっていました。しかし馬族のリーダーは少尉ではなく、部下の鬼島だと分かると紅緒は大ショック!そして鬼島の口から少尉は死んだのだと聞かされましたが…!

最初は鬼島は、満州の陸軍を恨み、村長の娘を人質に取り、身代金を取ろうとした悪事を働こうとしていました。ですから紅緒が人質の交換として乗り込み、彼女が少尉の許嫁だと知ると改心して、印念大佐のいる陸軍に集団で仕返しをします。

印念大佐は、ここでも腹黒いたくらみを考えてました。人質交換になった紅緒をそのまま見殺しにしてしまったのですから…!

紅緒にとって愛し始めた大切な少尉をシベリア出兵にさせた上に、戦死させ、今度は満州へやってきた紅緒を見殺しにするなど、本当に印念大佐は一番のトラブルメーカーです。

紅緒と鬼島の仕返しの後、出番がなくなった印念大佐。悪人はまさしく消えて当然!と言った所ですね。