マヤの最大のライバル姫川亜弓は、家庭環境にも恵まれ、劇団オンディーヌの花形として女優らしき誇りをいつも持っていました。ですがマヤの自分にない優れた才能に嫉妬感を感じつつも、意外にもマヤに対しては理解があり、紅天女を巡っては互角に戦っています。

常に両親の七光りであることを嫌い、母と自分は同じ女優であっても全く別であることを周囲に主張してきた亜弓ですが、マヤの出現によってますます彼女は女優の修行に熱が入っていきました。

亜弓はマヤの恋仲となった桜小路君と同じ劇団員であっても、やはり仲間としてでしか割り切っておらず、付き合ったことはありませんでした。

一刻も早く自分の母親を超えた女優になり、ライバルのマヤから紅天女の座を奪って見せる!と張り切っている亜弓です。

ところが亜弓って本当の恋をしたことが今までなかったことを皆さんはご存知ですか?確かに亜弓はマヤと違って美人で勉強もよく出来、料理も得意、演技は一流並み以上と、非の打ち所のない彼女です。

ですが亜弓は異性との交際経験が一度もありません。

丁度マヤと同じ頃にテレビドラマ「虹の記憶」で亜弓は記憶をなくした少女の役をやっていました。そこで彼女の弱点があることに気づいた人間がいたのです。それは亜弓とドラマで共演していた無名の俳優です。

ロビーでたまたまその俳優が「姫川亜弓の目に色気がない。あれは恋をしたことのない目だ。」と女性と話しているのを亜弓は聞いてしまいます。そして大きなショックを受けます。「私の弱点を見抜かれてしまった!」と彼女は焦ります。

そして恋をすることはどういうものなのか?と亜弓は演技を通じて学んでいきます。異性を好きになったことのない亜弓にとっては難しい課題でもありました。そこで通行人程度の平凡な役の男性に声をかけて、付き合うようになります。

そして恋をする、男性を好きになるのはこういうものか~と亜弓は感じ取っていきます。そして段々亜弓は演技に磨きがかかり、輝いていきました。共演していた俳優も「姫川亜弓は恋をしている!」と感じ取ります。

でもそれは単なる演技上で亜弓が学んだだけのことで、やっぱり彼女は本当の恋を知りません。これは意外な亜弓の素顔とも言えます。

マヤは恋多き少女なのに、亜弓は恋をしたことがないとは…容姿に優れているのに何故彼女は男性を好きになれないのでしょうか?自分が恋したことがないことを亜弓はマヤに打ち明けています。

やはり亜弓は恋愛より女優を優先しているのです。紅天女を演じられるようになるまでは、他のことは頭にない彼女です。

月影先生の元でマヤと共に紅天女をひたすら目指して頑張ってきた亜弓に突然予想もしないことが降りかかってきました。それは稽古中に別の団員が照明器具に引っかかって転びそうになったところを、亜弓が庇って頭を強打してしまいました。

その時は何もなかったかのように思われましたが、稽古から帰ると激しい頭痛と目の異変に気づきます。周囲がぼんやりして何も見えていない…亜弓は大きな不安に襲われます。

病院で診断を受けた結果、亜弓の目は視神経をやられており、すぐに治療しないと失明の危機だと医師から言われます。ですが亜弓には今が一番大事な時で、目の治療をしてるわけにもいかず、紅天女に向けての稽古を続行中です。

亜弓の母はすでに娘が目に異常をきたしていることを知っており、目が見えなくても演技出来るようにコーチしています。

マヤはそのことを知る由もありません。今後亜弓の目はどうなっていくのか、実に物語の展開が気になります。